交通事故 人身事故を起こすとどんな責任を負うの?

 人身事故とは交通事故において、人が負傷しているケースを言います。概ね、負傷者の診断書が出るか否かが人身事故扱いとなるかどうかを決定付ける要素と考えて差し支えありません。人身事故として事故が処理される事となった場合、加害側(より過失が重い運転者)は様々な複数の観点から責任を負う事となり、対応する処分の対象となります。その内訳は、行政処分・刑事処分・民事処分の3つです。

 まず行政処分は、運転免許の違反点数に関わるものとなります。基本として安全運転義務違反の2点が課された上で、負傷の度合いや治療期間によって2~20点の点数が更に付加されます。その為、重症事故にまで至ると免停の可能性が出て来ます。轢き逃げや酒気帯びがあった場合には対応する点数が更に付加され、免許取消と長期の欠格期間を覚悟しなければなりません。

 次に刑事処分ですが、こちらは被害者感情が考慮される為に、人身事故に至った故に必ず課されるというものではありません。また課される場合についても、治療が30日以内の軽傷扱いであれば不起訴となる事が殆どです。重傷に至った場合には20~50万円程度の罰金が課され、悪質な場合には危険運転致傷罪等の適応により、長期の懲役刑を受ける可能性もあります。

 残る民事処分ですが、こちらは何らかの機関から命令的に受けるものでは無く、被害者に対する賠償金・慰謝料といったものが主となります。基本的には保険会社が金銭を支払う事となり、被害者が納得して設定した金額を受け取れば示談成立となって解決します。但し示談が決裂した場合には民事訴訟・裁判に至る可能性もあり、この場合は判決内容に伴って処分内容・金額が大きく変動するものとなります。